『シン・ゴジラ』怖かった。子供には悪夢だったろうが・・・
金曜ロードショーで遅ればせながら『シン・ゴジラ』を見たが衝撃的だった。
私は現在37歳。小学生の頃『ゴジラVS◯◯』とかをよく見ていた。
その時は、「またゴジラが出たぞー!」とか「対ゴジラ兵器」とかがあって小学生ながら楽しく見れた記憶がある。
しかし、この『シン・ゴジラ』は間違いなく違った。
子供たちは間違いなくドン引きするだろう。
ゴジラ登場かと思われたが、とんでもなく気持ちの悪い巨大な生き物。
おまけにエラから血反吐を吐いて、這いずり回っている。
あの、カッコイイフォルムのゴジラとはかけ離れた生物がうごめいている。
ここで、子供たちは大人しく布団に入った…。
けれど、逆に私はますます引き込まれて行った。
メーサー戦車もない、メカゴジラも無い、人類の味方のモスラも出そうにない『シンゴジラ』だったが、人間の生き様、災害時の閣僚の行動なんかが凄く惹かれた。
私は東日本大震災の被災者。
しかも福島県で経験した。
3月なのに雪が降るとても寒い日だった。
今まで経験したこともないくらい長い地震で、窓から見える駐車していあるバス同士がガシャンガシャンとぶつかっていた。
車の中で居たが、降りて周りを見渡そうなどという余裕なんてなかった。
長い地震が弱まって、車から降りてテレビを見ると、津波が押し寄せて来て、大きな道路が水浸しになっている映像が流れていた。
とても現実とは思えなかった。
急いで家に帰る事にしたが帰り道、塀は倒れているわ、屋根は崩れているわで、家族の安否がとても心配だった。
その時は長男が一人だけだったが、まだ二歳。
帰り道、倒壊した家は見なかったので、家は崩れて居ないだろうとは思っていたが、携帯が繋がらないのでとても心配した。
極力大通りを避けて通って帰ったので渋滞に巻き込まれる事は無かったが、いつもの3倍の時間がかかった。
家族は全員無事だった。
電気、水道は止まっていたが、私の家は幸いにも発電機やら、ストーブやらがあったので何とかなった。
むしろ、その後の原発の問題のほうが大変だった。
私は隣県に実家があったので、嫁子供だけでも実家に避難させたかった。
しかし、なぜかお義母さんが『死ぬ時はみんな一緒の方が良い』みたいな事を言い始めたのだ。
当然、そんな戯言は無視し、嫁と子供は実家に向かわせたわけだが、それだけ人を狂わせた。
それだけ、目に見えない『放射性物質』というのは怖い物なんだと思った。
ましてや、政府の言っていること事なんてどこまで本当の事かなんて分かりもしない。
現実、放射能汚染は県内の全く関係のない所にまで広まって居たわけだし…。
随分話は脱線したが、未曾有の大災害を実体験した私からしてみたら、『シンゴジラ』を見た時に、その時の政府の動きがこんなだったんだろうか?それとも、どっかの大臣が思っていたみたいに、東京じゃないからまだ大丈夫とでも思っていたのだろうか?とかとても興味深かった。
実際は分からない。
けれど、劇中の様に上の指示を仰がないと何も出来ない、確認を取らないと動けない、どこまで発表していい情報で、これ以上はダメだとか本当にそうなんだろうなぁって事は分かっているつもりだ。
組織とは自分勝手に動けない物だし、大事になるにつれ、他の人の後押しは必要になって来るだろう。
その身動きの取りづらい状況下で如何に動けるか。そんな事をこの映画から分かった気がするし、動ける人はとてもカッコイイと思った。
『シンゴジラ』はそんな人間模様を見て楽しむ映画なんじゃないかなぁと私的には思った。
最後に。
舞台が東京じゃなかったら、熱核弾頭は即座に落とされたんじゃないか?
という考えが頭から離れない。どっかの大臣じゃないが…。
東京だからあそこまでの人間模様が描かれたんじゃないかなと思う。
田舎の山の中だったら、「人気がない。今だー!」と言わんばかりに、核弾頭を落としたんだろうね。
そんな事を思いつつも、とてもおもしろい映画でした。
なんたって録画したヤツをもう一回連続で見ちゃうぐらいですからね。